いかにもそれらしく装ったので、城中の者たちは不憫に思い様々に工夫して奉公に出した。

さて主馬は計画どおり奉公することになり門番を務めた。城中の作法では門の木戸を酉の刻より錠を掛けて回収し、翌朝卯の刻に錠を出して門戸を開く。夜回りの武士、処々の番人達はずっと怠りなくするので中々付け入る隙もないように見えた。ある時尚持の忍びの者がこの門外を通ったが、折しも早朝で主馬が門を開けるとすぐに彼を見付け、手に持っていた錠を取り落とした振りをして門から外に落とした。しかし人がこれを見ていたので、すぐ取り上げて門の内に入った。 >次へ

氏貞嶽山開城:12345│6│789