その時、守致は下から久則の鎧のわたがみを取って引き付け、刀を抜き上げざまに一二刀あびせて跳ね返し、押さえて首を取り目より高く差し上げた。敵も味方もこれを見て
「天晴(あっぱれ)今日の見物かな」と、誉めぬ者がいない。こうして立花勢は奴留湯が討たれて気後れする一方、宗像勢はこれに力を得て一もみに攻めようと踊りかかる。敵の足並みがしどろもどろになるところを攻めて戦った。氏貞は馬を八方に駆け回して采配をふり、声をはり上げられたので、これに味方は益々力を得て、わめき叫んで揉み合う。敵の足並みも乱れたと思った途端、にわかに崩れて右往左往に敗走した。新兵衛は帰国してこの有様を逐一毛利殿に報告したので、「類なきたのもし人」と思し召して限りなく寵愛されたという。 |
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